叩っ切ってやる! 

    

   今日あたりから涼しくなるという。
   地球はどうかしちゃったんじゃないだろうか。地球よ地球どうしたの、
   と言いたくなる。
   子供の頃火星を見て火星人がいる、というよりも地球の終りはあんな姿だろうと
   思っていた。地球もいつかバーンアウトするだろう。


   葉っぱの絵を描いて秋の感傷に浸ろうと思っても世の中はそうは許さない。


   午後二時から、地方テレビで昔の時代劇をやっている。
   主人公の萬屋錦之助が表題のようなセリフを吐く。
   江戸期の天保の改革あたりを時代背景にしている。
   悪徳商人と悪徳武士の結託のあれこれをドラマにしている。
   大判小判が出て来る。
   「お前ら、人間じゃぁねぇ!叩っ切ってやる!」
        これが錦ちゃんのセリフである。医者兼剣の達人らしい。
   私はちょっと胸がすいてまたがっかりしている。


   今と同じではないだろうか。
   令和の時代にこんな主人公がどこぞにいないものだろうか。


   関電のニュースに暗然とした。
   結局人間は変わらないんだな、心から情けなく思った。


     ●生者には口あり死者に口が無し         川柳


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   口直しにベルレーヌの詩を(上田敏 訳)
    
    秋の日の
    ヴィオロンの
    ため息の
    身にしみて
    ひたぶるに
    うらがなし


    鐘の音に
    胸ふたぎ
    色変へて
    涙ぐむ
    過ぎし日の
    思い出や


    げに我は
    うらぶれて
    ここかしこ
    定めなく
    飛び散らふ
    落ち葉かな