両陛下のお歌

                          (切り絵)
 天皇陛下のお歌
   贈られし ひまわりの種は 生へ揃ひ 葉を広げゆく 初夏の光に


 皇后陛下のお歌
   今しばし 生きなむと思ふ 寂光に 園の薔薇の みな美しき


  平成も最後になってしまった 。
  天皇陛下のお歌はあっさりとして失礼ながら最初読み過ごした。
  しかし、<はるかのひまわり>を詠んだと知って驚いた。


  皇后さまのお歌はいつもながら素晴らしい。
  御所にはどんな薔薇が咲いていたのだろう。


  思い出したのだが、私の父方の叔父が東宮御所の建設に参加し(美智子さま
  との結婚に際し新御所が建てられた。)当時の岸総理(安倍総理の祖父)と
  写った集合写真がある。
  叔父は田植え用のお金を洗い浚い持って出奔したという。(当時の宮城県から)
  同腹の父は、長男だったので、これも一因になって、田舎から街に出てきて
  しがない銀行員になった。祖母が継母だったことも起因して家庭内がうまく
  いかなかったのである。
  なんという連鎖だろう。我が家はその後、貧窮のどん底に沈み、戦後を
  食うや食わずで生き延びた。
  
  天皇陛下も疎開をした。(丸坊主だった。)
  美智子さまも粉屋の娘などと外国紙に揶揄された。(miller's daughter)


  ご苦労の多い日々だったろう。


  失礼ながら私も詠んでみた。


   *さりげなくひまわりに愛を込められて象徴の座を静かに降りる


   *花の中の花だと思ふ薔薇の花(ばらのはな)
          薔薇と呼べばなほ美しき(薔薇・・・そうび)


  残り惜しい平成、万感の思いである。


   *私は皇室賛美論者ではない。
    しかし戦後のご苦労を思うと現天皇に同情を禁じ得ない。
       どれほどのおわびの旅をしたら済むのだろう。
        象徴の座を降りられて ゆっくりお休み下さい、と言いたい。