天に咲く花

       
       
      もう十一月なのだが、朝顔は咲いているところには
      咲いている。なにせ秋の季語なのだから。
      母のことを書いたので父のことも書いておく。


      父の母(祖母に当たる)は父が八歳ぐらいの時に死んでしまった。
      終生、実母を恋い慕っていた。


      同腹の弟と悪さをしたときに、継母に庭の柿の木に
      縛り付けられた、と、酒が入るといつまでも言っていた。


      若いお父さん、お母さん、子をおいて死んでは
      なりません。


      以前紹介した本に「朝顔と父のこと」を句にして載せた。。
        
        三回忌経も短くなりました
        天国のお酒の味はどうですか
        天の朝顔にも露はおりますか
        朝顔と早起き競う父でした
        二つ咲く花に三つのもの思い
        身を裂いて開いて萎む父の花
        元気かね子はどうかねと花が問う


      少しづつ花が小さくなって咲く朝顔に見る秋の訪れ
                          (短歌)
       
      私は勝手に父の忌を<朝顔忌>と呼んでいる。
      季節のない天で朝顔を愛で、またお酒を飲んで母に
      小言を言われているかなぁ、
      孫たちの身を案じているかもしれぬ、と
      こちらの方が案じている。